前回の記事で、ボイトレの準備や呼吸法は分かったけど、実際にどんなトレーニングをするのかな?
みなさん、こんにちは。ボーカル教室エンゲルリートの功刀です。
こちらの記事では腹式呼吸のトレーニング方法から、肺活量、ハミング、発声方法と、そのトレーニング方法までをご紹介いたします。実際にボイストレー二ングのレッスンで使用している方法ですので、是非ご活用くださいね!
では早速、本格的なボイストレーニングを始めていきましょう!
手っ取り早く歌が上手くなる方法の記事で、ボイトレを始める前の重要な注意点と、準備、呼吸法の理論や方法などをご紹介しています。2章に入る前にご一読をお願いいたします。歌の豆知識も満載ですよ♪
腹式呼吸は全てのトレーニングの基本!
それでは腹式呼吸のトレーニングを始めましょう。必ず鼻から吸って、口から吐きましょう。腹式呼吸のやり方は前回の記事で、詳しく解説していますよ。
長さを徐々に短くしながらトレーニング
前回までは長さを考えずに、息の吸い吐きをしていましたね。ここからは、吸い吐きの息の長さを徐々に短くしていきます。このトレーニングで、短いブレスでも、たっぷり深く息を吸えるようになっていきます。そして、強く安定した息を送れるようになるので、喉に負担をかけずに声量UPにも繋がるでしょう。
レッスン時は講師の声に合わせてトレーニングしますが、自己練習では数字を頭で数えながら呼吸していきます。1つの脈拍が2拍くらいの速さで、数を数えていきましょう。では全身鏡を見ながら、まずは4拍からはじめましょう。
- 下腹部を膨らませながら、鼻から4拍で息を吸っていきます。背中の腰の後ろにも息が入って、360度に息が入っていき膨らんでいくイメージです。肩や胸は当然、脱力していて少しも動きません。首にも筋などが出ていず、常に脱力しています。1,2,3…
- 4のカウントで、息がもう入らない所まで吸い切るよう調整します。ここで、まだ息が余っていたり、2や3で吸い切らないように、気を付けましょう。
- 一旦息を止めてキープします。フルで息が入っている身体の状態を確認します。
- 下腹部に、下方向から上に力をじわじわ入れていき、へこませながら息を送るイメージで、口から4拍で息を吐いていきます。「フゥー」と吐いて、遠くにまっすぐ息を送るイメージです。上半身はもちろん脱力しています。力が入るのは下腹部だけです。1,2,3…
- 4のカウントで、息がない所まで吐き切るよう調整します。吐き切るのに、胸はつぶさないように注意しましょう。ここで、まだ息が余っていたり、2や3で吐き切らないように気を付けます。吐き切ったら強張っている下腹部を脱力して、自然に鼻から息を戻します。
- 慣れるまで1~5を繰り返します。
- 慣れてきたら3のステップを飛ばし、呼吸を連続して続けてみます。4つで吸って、止めずに4つで吐いて、吸って、吐いて…を5回繰り返します。
初期段階では、特に7のステップの呼吸を連続するトレーニングで、上半身が強張ったり、胸式呼吸になったり、深く吸い切れなかったり吐き切れなかったりします。うまくいかないと思ったら、1段階前のステップに戻って復習しましょう。焦らずゆっくり慣れていってください。
4拍ができるようになったら、3拍、2拍と挑戦していきます。やり方は上記の通りで、4拍が3拍や2拍になるだけです。ただし、拍が短くなるにつれて、おなかを膨らませる早さや、力を入れる早さがどんどん増してきます。それにつれ、上半身の脱力も難しくなっていきます。まずはひとつずつ確実にマスターしながら、数を減らしていってみましょう。
最後は、1拍のトレーニングになります。
1拍のトレーニングは、アタックの練習にも
歌唱中のほとんどは、1拍で息を吸うことが多いので、かなり役立つトレーニングになります。1拍も上記のトレーニング方法と一緒ですが、ステップ7だけは5回ではなく、10回にしてください。1m先のロウソクの火を一瞬で消すようなイメージで、素早く息を送ります。吹き矢を吹くイメージでも良いですよ。また、最後にはゆっくり3回ほど、腹式呼吸で深呼吸して、息を整えましょう。
このトレーニングは、アタックの練習にもなります。アタックとは、1つの音を強く・大きく出して目立たせる技法です。喉を傷めず、強い発声をするには、呼吸からが重要なのです。また、おなかにかなりの力を使いますので、腹筋が筋肉痛になることもありますが、慣れますので無理せず続けてくださいね。
肺活量を増やして、呼吸をコントロール
肺活量が多いと、歌う事が楽になります
次に息の量を増やすトレーニングに入っていきましょう。一度吸った息で、できるだけ長く息を吐き続けます。息が長く続けば、息切れも少なくなり、アップテンポの曲やフレーズが長い曲でも、余裕をもって歌いこなすことができます。多い肺活量で呼吸がコントロールできる事から、発声も安定するので、聞き手にとっても安心感がある歌になります。
肺活量を増やすトレーニング方法
それでは肺活量のトレーニング方法をご紹介します。腹式呼吸のトレーニングの、ロングバージョンになるという形です。必ず腹式呼吸法にならって、吸い吐きしてください。
- たっぷり、フル状態まで息を吸い込みます。
- まず10拍で息を調整して吐き切っていきます。このトレーニングでは、息は「スゥー」と歯から漏れる息がやりやすいです。1~10の間に、必ずじわじわおなかに力を入れいってください。
- 10拍で息を吐き切ります。この時、息が余ったり、無くなったりしないように調整しましょう。また、息が小さくなったり大きくならないよう一定に、ブレないようにまっすぐ、10まで吐き続けます。
- 吐き切ったら強張っている下腹部を脱力して、自然に鼻から息を戻します。
10拍までができるようになったら、20、30、40、50拍と数を増やしてみてください。最初は2,30拍くらいが限界と思いますが、拍を早くしても良いし、息は微量になっても良いので、とりあえず50拍まで挑戦してみてください。息はいつも一定量をキープするのが重要です。
長い拍はかなり苦しいと思いますので、最後にゆっくり3回ほど、腹式呼吸でゆっくり深呼吸して息を整えましょう。
慣れてきたら、いろいろなバリエーションにもチャレンジしてみてくださいね。5拍刻みでやってみるとか、拍数ではなく、秒数にしてトレーニングしていく、などもいいと思います。
休憩はこまめにとりましょう
レッスンでは、このあたりで一度休憩を挟みます。適度に喉をうるおしたり、身体を休めてあげましょう。
つぎはいよいよ発声に入っていきます。
どこまでも響き渡る発声のカギは、鐘!
芯のある発声の為に、顔を開く!?
さて、次は発声の準備からはじめていきましょう。
まず、人が何人も入ってしまう程の、大きな大きな鐘を思い浮かべてください。鳴らせば、とても美しく広範囲に鐘の音が広がっていきます。
鐘は、内部が大きな空洞になっていることで、豊かな響きと大きな音になっているのです。発声も同じで、口内をできる限り広く開け空間をとることで、大きく響きのある声が生まれます。
それでは開き方を見ていきましょう。
口の中と喉を広く開け、口は縦に大きく開く
まず最初に喉の開き方から始めます。腹式呼吸と一緒で、なかなか喉を大きく開く事は事はあまりないでしょう。しかし実はこちらも、普段の生活の中で誰もが広く開いた事があるはずなのです。
それは、思い切りあくびをする時です。さて、皆さん大きなあくびをしてみましょう。口も思い切り開いて、大きな大きなあくびをしてくださいね。
その開いた感覚が、まさに喉を開ける感覚ですので、あくびで確認してみましょう。ボイトレ時には、大きく喉を開いたままをキープしていきます。
ウシさんになろう!口内と喉の開いたハミング法
次に、喉を開いたまま発声をしてみます。まずはハミング法です。ハミングは簡単に言うと、鼻歌です。必ず先ほどの喉を開きながら、腹式呼吸で行いましょう。
- まず口を閉じたまま、口内を大きく開きます。耳の耳珠あたりに人差し指を置いてください。
- 口は閉じたまま、口を大きく開けるとボコっと穴ができますので、開く目安にしてください。無理せず穴ができることろで大丈夫です。口内の空間が広くとれていると思います。また口は、顎を下げずに上方向に開きましょう。
- 次に、喉も開いていきます。あくびの喉を思い出して、首の後ろがググっと持ち上がる感じです。
- 耳に置いていた手を、額の上あたりに当てて、ハミングをします。腹式呼吸を意識しながら、低くとウシさんみたいな声でハミングしてください。額上に置いた手がビリビリ振動すればよく響いていますので、響きの参考にしてください。
- 次に、低いウシさん声からハミングに入り、高いトーンまであげていきます。高い音域でも、喉はあくびのままよく開いておきます。
- いろいろな音域でハミングし、どんな音域でも喉と口が開いている状態をキープできるよう、練習しましょう。
美容にも!顔全体を使って口を開こう
ハミングや発声の練習をする時、口内や口、喉を開けますが、顔全体を使っていきましょう。目を見開いて、眉毛もグっと上に上げ、ほっぺや口角も上に持ち上げてください。そうすると口内や喉がさらに上に持ち上がり、広い空間を確保できます。
ボイトレはやることがいっぱいなので、必死になってしまうのですが、表情の筋肉を柔らかくして、朗らかな明るい表情でトレーニングしましょう。小顔効果や、リフトアップ、引き締めにも良いかもしれませんよ♪
身体を使った発声で、自然で負担のないパワフルボイスに!
ここまでの全てのステップを一気に使います
さあ、いよいよ口を開いて発声です。正しい姿勢、腹式呼吸、喉・口内の開き方、ウシさんハミング、を全て意識して、無理なく自然な声で発声していきましょう。できない所がでてきたら、その箇所を何度も練習を繰り返します。そうすることで、必ず良い発声ができるようになりますからね。
発声のトレーニング方法とポイント
それでは発声の手順をご紹介します。
- まず、上記のハミング法を何度か繰り返し、口内と喉の開き、腹式呼吸を確認します。ハミングは4拍くらいの長さが良いでしょう。
- 確認できたら、ハミングの途中から唇を開いていくだけです。絶対に喉や口内の空間を潰さないように、「アー」または「ハー」で発声していきます。ハミング時、口は閉じたままですが、すでに口内のスペースはできていますね。もっと開いていくイメージで唇を開いていきましょう。
- 開口するときは、口は縦丸の形にしましょう。横に開きすぎたり、歯が出すぎていたり、顎で下方向に開いていてはいけません。ローマ字のOのような形です。
- 2-3のステップをいろんな音域で試してみます。高い音域になっても、絶対に喉や口内の空間を潰さないようにします。腹式呼吸も忘れずに。おなかに力も入れます。
- 慣れてて来たら、今度は口を開いたまま、発声しましょう。縦丸の口の形で、耳珠前に無理なく穴があくくらいの開け方です。目や眉毛もぐっと上へ。口を開いたままでも鼻から息が吸えるはずなので、しっかり腹式呼吸で、「アー」または「ハー」で発声していきます。
自分の声は自分ではわからない
「アー」と「ハー」、どちらが良いのかは、元々のあなたの口内や声帯の形によります。まれにオーやウーの方がいい方もいらっしゃいます。響きの具合なども、もともと広い骨格をお持ちの方ですと響きすぎて音がこもったりします。良い発声かどうかは、正直に申し上げますと、聴いてみないとわからない所があります。これは発声に限らず、どのステップでも言えることです。
私のレッスンでは、個々の骨格や声帯に合ったトレーニングで進めていっております。初期段階では、是非レッスンを録音して、良いと言われた発声を自身で聞き直し、個人練習時には、発声を録りながら比べてみると、上達が早いでしょう。
信頼できるボイストレーナの元、無理のなく早く上達できるトレーニングをされてくださいね。
いかがでしたでしょうか。今回は腹式呼吸のトレーニング方法から、発声法と、そのトレーニング方法までをご紹介しました。
次回は母音の口の形、滑舌のトレーニング、発声のバリエーション練習に入っていきます。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。